幕末以来、日本の玄関口となったグローバル都市

兵庫県の県庁所在地である神戸市は、1868(慶応3)年に神戸港が開かれて以来、日本と世界とをつなぐ玄関口として発展してきました。現在の神戸港は、世界の海運のメインルート上にある国際貿易港。さらに中国、四国、九州地方を中心とした西日本の諸港とも密接につながる、物流の要となっています。
リアライズトレーラーが渡っていく赤い橋は、神戸港の新港第四突堤と人工島・ポートアイランドとをつなぐ神戸大橋。1970(昭和45)年、日本で初めて開通したダブルデッキアーチ型鋼橋です。新港第四突堤には神戸ポートターミナルもあり、国内外の大型クルーズ客船や国際フェリーが日々出入りしています。

明石海峡大橋は発達した陸路のシンボル

海路に加え、道路交通網が発達しているのも兵庫県の特徴。その象徴ともいえるのが、神戸市と淡路島をつなぐ世界最長の吊り橋・明石海峡大橋です。1998年にこの橋が完成したことによって、本州と四国が直結しました。佇まいの美しさから「パールブリッジ」とも呼ばれています。
また異国情緒漂うベイエリアに対して、内陸部の丹波市に広がっているのは緑豊かな森林風景です。連なる山々に、稲穂がそよぐ田園。映像には、「水分れ街道」と名付けられた国道175号線が登場します。水分かれとは、水の流れを日本海側と太平洋側とに分ける中央分水界のこと。この道が通る丹波市氷上町石生は、本州でもっとも低い標高95mの分水界となっています。

江戸時代の製法を守り続ける、淡路手延素麺

兵庫県の特産品のひとつに、素麺があります。県の南西部、揖保川流域で作られる播州素麺も有名ですが、今回取り上げたのは淡路島南部地方を中心に作られている淡路手延素麺。江戸時代の終わり頃に、三輪地方の麺製造法が伝わったのが始まりといわれています。素麺作りに適した気候と風土であったことから、漁師の冬場の副業として盛んになっていき、船便によって紀伊半島や四国地方に販売されるようになりました。
現在でも淡路手延素麺の製麺所では、江戸時代からの伝統的な製法が受け継がれています。撮影を行なったのは、1865(慶応元)年創業の有限会社金山製麺。「いとでし」と呼ばれる職人がいくつもの工程を経て、小麦粉の固まりを少しずつ細く長い糸状に変化させていく様子をご覧ください。