山岳地帯の間を流れる東北最大の河川・北上川

岩手県は本州の北東部に位置します。総面積は、北海道に次いで全国2位。広大な県土の大部分を山地と丘陵地が占めており、西の奥羽山脈と東の北上高地が並行して走っています。その間を南北に流れるのは、東北最大の河川である北上川。氾濫しやすいため、古くから治水事業が進められてきました。代表的なのが、上流に建設された5つのダム。映像には、北上川に流れ込む雫石川を堰き止めてつくったダム湖・御所湖が登場します。
真っ白に凍結した湖面を横切るのは、御所大橋。この橋を駆け抜けていく、リアライズトレーラーの姿を捉えました。湖畔には水生植物園やスポーツ施設なども点在し、県民の憩いの場となっています。

見る角度によって表情を変える南部片富士

岩手県でもっとも高い山は、御所大橋からも望める標高2038mの岩手山。県の北西部に大きく裾野を広げた、日本でも有数の大型成層火山です。有史以来5回の噴火を繰り返すなかで形成された火山地形は、全国でも珍しいもの。角度によって表情が異なり、南から見ると片側だけが美しい稜線を描いていることから、「南部片富士」の異名もあります。この地域では霊峰として、篤い信仰を集めてきました。
また映像には、二戸市にある希望大橋も登場。馬淵川と安比川の合流地点付近に架けられた橋で、橋上からは県内屈指のダイナミックな景勝地・馬仙峡を一望することができます。荘厳な雪景色はもちろん、春の新緑や秋の紅葉のすばらしさも有名です。

400年の歴史をもち、現代にも溶け込む南部鉄器

岩手県の地場産業として名高いのが、銑鉄を主原料とする南部鉄器。17世紀に南部藩主が京都の職人を盛岡に招き、茶の湯釜を作らせたのが始まりといわれています。原材料に恵まれたことや、藩が鋳物師や釜師を保護したことによって発展していきました。現在の南部鉄器は、盛岡市と奥州市で製造されています。
今回撮影を行ったのは、盛岡市に本社を構える株式会社岩鋳。1902年創業の老舗であり、南部鉄器のデザインから販売までを一貫して手がけています。あられ棒と呼ばれる道具で鋳型に細かい模様をつけていく「紋様捺し」や、その鋳型に1400℃以上に溶かされた鉄を流し込む「鋳込み」などの工程を経て、南部鉄瓶ができあがっていく様子を捉えました。