山と海、そして清流。豊かな自然は食材の宝庫

北側は輝く緑が生い茂る山々、南側は雄大な太平洋に面する高知県。
温暖で日照時間の長い気候は、野菜や花の栽培に適しています。映像のなかでリアライズトレーラーが走っているのは、ビニールハウスでの園芸が盛んな安芸郡。年間を通し、さまざまな野菜や花が日本各地へ出荷されています。
また高知といえば、県内の西部を流れる四万十川も有名。豊かな生態系を育み、「最後の清流」ともいわれています。映像にある山あいを流れる風景は、河口に最も近い佐田沈下橋からドローンで撮影しました。欄干のない橋なので渡るときは少し緊張しますが、爽快感はひとしおです。

目を見張るようなエメラルドグリーンの海に囲まれているのは、県の南西部に位置する柏島。400人ほどの住民が暮らす小さな漁村で、本島からは2本の橋でつながっています。
何ひとつ視界を遮るものがない橋の上から見える海は、透明度抜群。あまりに透き通っているので、「船が宙に浮いて見える」といわれるほどです。海中には日本の海で見られる魚種の3分の1にあたる約1000種類の魚が生息しており、世界屈指のダイビングスポットにもなっています。

カビが味をまろやかにする伝統食・本枯れ節

高知の食材のなかでもとくによく知られているのは、全国一の消費量を誇るカツオ。鮮度抜群の地物が流通しており、藁で表面をさっと焼いたタタキは絶品です。
またカツオの加工品である「本枯れ節」も、江戸時代から作られ続けている重要な保存食。生のカツオを解体して煮込み、燻したあと、あえてカビをつけて天日干しにします。数ヶ月かけてカビ付けと天日干しを繰り返す間に、カビの作用でたんぱく質が分解されて上品な風味になり、乾燥によって旨味も凝縮していくのです。
非常に手間と時間がかかることから本枯れ節を製造する工場は少なくなってきていますが、未だに伝統の製法と味を守り続けている工場もあります。有限会社竹内商店もそのひとつ。兄弟で力を合わせながら一本一本丁寧につくっている本枯れ節は、地元ではもちろん、多くの料亭や家庭で愛されています。