鳥取TOTTORI

中国地方最高峰・大山の麓に名水が湧き出す

鳥取県の北側は日本海に接し、南側には中国地方の背骨である中国山地が走っています。連なる山々のなかでも中国地方最高峰を誇るのが、標高1729mの大山。古くから山岳信仰の霊場として知られ、近代まで入山が制限されていました。そのため大山を中心とする大山隠岐国立公園には、西日本最大級のブナ原生林をはじめとする手付かずの自然が残っています。
山麓にはブナ林の落ち葉で濾過され、地中に蓄えられたピュアな雪解け水が湧き出しており、大手飲料メーカーがミネラルウォーターの採水場をもつ名水の地としても有名です。山麓に広がる田園風景のなか、雄大な大山に向かっていくリアライズトレーラーの姿を捉えました。

古くから多くの人とモノが行き交う米子市へ

大山の西麓から、県道52号線岸本江府線を北に向かって走っていくリアライズトレーラー。その道のさらに先には、県西部の中心をなす山陰の商都・米子市があります。古くから交通の要衝として栄えた土地で、現在は米子自動車道と山陰自動車道が通り、鉄道網も充実。空の玄関口である米子鬼太郎空港も擁しています。海岸に湧き出す皆生温泉も有名で、その付近に架かる皆生大橋も撮影しました。
一方、東部の中心地は県庁所在地でもある鳥取市。海岸には国の天然記念物に指定されている鳥取砂丘が広がっています。風向きや天候、季節によって刻々と姿を変え続ける幻想的な砂丘の風景を、上空から捉えました。

伝統工芸士が一枚ずつ漉きあげる因州和紙

鳥取を代表する伝統的工芸品のひとつが、因州和紙。県東部の古名・因幡国では、1300年前には既に和紙がつくられていたといいます。1975年には全国の和紙産地に先駆けて「国の伝統的工芸品」に指定。1996年には環境省選定『残したい日本の音風景』に選ばれ、「磨き上げられた技が奏でる音」と称えられて、品質の高さから多くの書家・画家らに愛されています。
撮影を行なったのは、長谷川憲人製紙。伝統的な製法を受け継ぐ手漉き工房で、書道用紙のほか版画紙や文化財修復紙も手がけています。和紙の原料は、主にミツマタ、コウゾ、ガンピの外皮。余分な黒皮を削ぎ落とすところから、漂白後の繊維を棒で叩いてほぐす叩解、水に溶かした繊維を1枚1枚漉き、床に積んでいく様子まで、全部で20以上もある職人の手作業を追いました。